2022年9月10日

建築者側から見た失敗の少ない注文住宅

投稿者: select

住宅を作っている目線で、失敗の少ない注文住宅の建て方を紹介します。
一生に一度のお買い物をされるお客様を多く見てきた立場だからこそわかることを紹介して、あなたの大きなお買い物がより価値のあるものになる手助けをします。

住宅メーカー・工務店の選び方

住宅メーカー・工務店は必ず数社に相談してください。
そして各社で基本プランのみでの価格と、必要な住宅性能をつけた最終の金額を見積もってもらいましょう。
一見安くて良い家だと感じても、会社によっては最低限の住宅性能しかなく、住んでから後悔することになります。
必ず数社で比較して、安心してお任せできる会社を決定しましょう。

では必要な住宅性能とは何でしょうか。
絶対に欲しい住宅性能を2つ紹介します。
・耐震性能(家の壊れにくさ)
・断熱性能(家の中の温度が一定になりやすさ)

耐震性能が良ければ、万が一の災害に対して強い住宅が出来上がります。
強ければ強いほど倒れにくいですが、最低でも2~3級は欲しいところです。

断熱性能が良ければ、夏は涼しく冬は暖かい家となります。
性能が低ければかなり寒い思いをしてしまいますし、暖房が効きにくく電気代も高くなます。快適なマイホームのためには4級以上は必須です。
ZEH水準と呼ばれる省エネ住宅があれば5級以上ですので、ZEH住宅もオススメです。
さて、住宅メーカー・工務店が決まれば間取りを考えていきます。

間取りの考え方

設計相談をスムーズにすすめるポイントを2つだけ紹介します。
・こだわりポイントを1~3つまとめておく
・こだわりポイント以外は設計者に任せてみる
絶対に譲れない間取りがあるならまとめておきましょう。5つ以上ある場合は優先順位をつけておくことも重要です。すべてをかなえることが難しい場合もあります。大きな買い物ではありますが、妥協できるラインも考えておきましょう。

逆にこだわり以外は設計者の意見をよく聞いてください。初めて購入する人よりも毎日経験を積んでいる設計者のほうが、良い間取りに詳しいからです。
気に入らなければ無理に採用する必要はないですが、設計者もより良い人生のために意見しているので耳を傾けてみてください。
最後にオススメの間取りを紹介します。
多くの間取りを見てきた中で、2つに厳選しました。
・洗濯の導線がスムーズ
・階段は玄関近く

洗濯機は1階だけど、干すのは2階のバルコニー。とてももったいないです。
階段を上がって干しに行くのは非常に手間です。
洗濯機を2階に置く計画にするか、1階のお庭で洗濯物が干せる環境にするのがオススメです。洗濯物を持っての階段の上り下りは、なくすように工夫しましょう。
正直にいうとドラム式洗濯乾燥機があればすべて解決します。

階段の位置は、玄関近くがオススメです。
小さなお子さんがいらっしゃる場合は、”帰ってきたのかわかりづらいから、リビングを通って階段を上る”という間取りが人気です。
しかし暮らし始めるとけっこう不便です。わざわざリビングを通過するのは導線の効率が悪いです。さらにリビングドアの開閉が増えるとその分エアコン代が高くなります。
玄関からすぐに階段にすることで効率も節電効果も高まり、生活の質は向上します。

やめておくべき間取り
・吹き抜けリビング
・シューズクローク
・屋上庭園、スカイバルコニー
吹き抜けリビングは、よっぽどの憧れがない限り避けてください。絶対に吹き抜けリビングにしたい場合もデメリットは覚えていてください。
びっくりするくらいの光熱費がかかります。
相当の覚悟と憧れで採用してください。

シューズクロークは1年後にはごちゃまぜ物置になっています。玄関横のちょっとした隠れスペースへの憧れはとってもわかります。しかし置くものが決まっていない人が憧れや”何か置くかも・・・”という考えで作ると、デッドスペースとなります。
サーフボードやベビーカーなどの明確な利用方法があれば有効活用できます。

屋上庭園やスカイバルコニーでのBBQ
人生の勝ち組を味わうことができるワードですが、BBQは2~3回しかしません。
屋上を作る追加料金で得られるものは雨ざらしの倉庫です。
毎週BBQをする。ゴルフのパター練習をする。洗濯物は屋上に干す。
明確な利用方法を必ず持って、屋上庭園を設けましょう。

以上、注文住宅の買う上で失敗を少なくするポイントを、住宅を作っている側・多くの家族を見送ってきた目線から紹介しました。
注文住宅、夢のマイホームづくりが成功することを願っています。